内因性心拍と能動的起立時の心拍応答を組み合わせてみると
安静時の心拍数を内因性心拍数の差でとらえ、かつ能動的起立による心拍応答を組み合わせて捉えてみると・・・・
内因性心拍・安静時の瞬時心拍・能動的起立による瞬時心拍の応答から
■安静時の心拍は年齢相関しない
安静時心拍について社内データでみてみると、各年代別に正規分布しているのですが、年齢相関はありません。(加齢と相関する因子は予後の因子になりえます。)
年齢相関がないだけに、頻脈あるいは徐脈といった観点からのみとらえられているようです。
■内因性心拍を加味すると正規分布し年齢相関する
ヒトは心臓の心拍自動能を有しています。一定のリズムで心臓を鼓動させるという機能です。その機能器官である洞房結節に自律神経が作用して1拍1拍の心拍リズムと心拍数を決定しています。この心拍自動能による心拍を内因性心拍数といいい年齢によって規定されます。(117.2-(年齢×0.53))という回帰式で求められます。※安静時の心拍数では年齢相関ありませんが、安静時の心拍数(HR)から内因性心拍数(iHR)を引いた値(HR‐iHR)は各年代別に正規分布し、強い年齢相関があります。
※Jose AD, Taylor RR. Autonomic blockade by propranolol and atropine to study intrinsic myocardial function in man. J Clin Invest. 1969;48:2019-2031.
■能動的起立に対する心拍応答は年齢に逆相関
心拍について、もう一つ興味深いデータがあります。
年齢相関しない安静時心拍数ですが、能動的起立に対する心拍応答(⊿HR)は年齢別に正規分布し、年齢逆相関を示します。
安静時の瞬時心拍・内因性心拍・能動的起立による瞬時心拍応答から、適切な心拍情報が得られるのではないでしょうか。
■β遮断薬服用時の起立応答をみてみると
心拍の起立応答を、健常同一人物にて、β抑制時・β刺激時を比較しました。β抑制(β遮断薬:テノーミン服用) β刺激(α遮断薬:カルデナリン服用による反作用)
心拍は瞬時心拍にて算出
きりつ名人にて測定
【結果】
β抑制時は 安静時 内因性心拍数に対して低い
起立応答はかろうじて正常範囲で反応
β刺激時は 安静時 内因性心拍数に対して高い
起立応答は過剰反応
参考 心拍に関する研究
■フラミンガム研究高血圧患者で心拍数が高いと心血管死、総死亡リスクが上昇し、特に男性で安静時心拍数が85拍/分を超えると、10-15年で心血管死に至る可能性がさらに高まることが報告されている